【地震に強い家はどれ?】耐震・免震・制震の違いと“本当に安全な住宅”の選び方

日本で住宅を購入するなら、忘れてはならないのが「地震への備え」。
交通アクセスや間取りだけでなく、「地震に強い家かどうか」は、家族の命を守る重要な判断基準です。
「震度7でも倒壊しなかった」「○○工法で耐震性が高い」といった広告を見かけるものの、「結局、どの構造が一番安全なの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、耐震・免震・制震の違いと、住宅の地震対策を見極めるポイントをわかりやすく解説します。
■【はじめに】地震で最も命を奪うのは「建物の倒壊」
大地震による死因は、その地震のタイプによって異なります。
- 関東大震災:火災による焼死
- 東日本大震災:津波による溺死
- 阪神・淡路大震災:建物の倒壊による圧死(約8割)
津波や火災は個人の力では防ぎにくい災害ですが、建物の倒壊は「耐震性の高い家選び」や「家具の固定」でリスクを減らすことが可能です。
つまり、地震に備える第一歩は「家の耐震性を見直すこと」だと言えます。
■【建築基準法では不十分?】新耐震基準でも倒壊例がある
1981年(昭和56年)に改正された「新耐震基準」では、建物の耐震性が大きく向上しました。
しかし、1995年の阪神・淡路大震災では、新耐震基準に適合した建物でも約8%が倒壊しています。
その反省を受け、2000年には「新・新耐震基準」とも呼ばれる建築基準法の再改正が行われ、木造住宅の構造がさらに強化されました。
それでも、2016年の熊本地震では、新・新耐震基準に基づいた住宅でも、わずかですが約2%が倒壊したという事実があります。
つまり、建築基準法に適合しているだけでは、必ずしも“絶対に安全”とは言えないのです。
■【耐震等級とは?】“第三者が認めた地震への強さ”が信頼のカギ
多くのハウスメーカーやマンション業者は、独自に「地震に強い住宅」を開発していますが、これらはあくまで「自称」。
信頼できるのは、公的な第三者機関が認定する『耐震等級』です。
▷ 耐震等級とは?
- 国が定める「住宅性能表示制度」のひとつ
- 等級1~3の3段階に分かれ、「等級3」が最高レベル
- 評価機関による認定が必要
さらに、マンションで採用されることの多い免震構造(建物と地盤の間に緩衝装置を設けて揺れを逃がす構造)は評価方法が異なりますが、耐震等級3と同等以上の地震性能を持つとされています。
■【比較】どの住宅が最も地震に強い?強さの目安はこれ!
地盤の状態を除いた「建物の構造」だけで比較すると、おおまかに以下のような順番で耐震性能に差が出ます。
地震に強い住宅の目安(地盤条件を除く):
- 免震構造の住宅
- 耐震等級3の住宅
- 耐震等級2の住宅
- 2000年以降の建築基準法に基づく住宅(新・新耐震/木造)
- 1981年以降の「新耐震基準」に基づく住宅
- 1981年以前の「旧耐震」住宅(耐震改修が必要)
■【まとめ】家族の命を守る「家選び」の新常識とは?
大地震は、住宅の資産価値だけでなく、家族の命を一瞬で奪いかねません。
だからこそ、購入前に「耐震等級」や「建築年」などの安全性を確認することがとても重要です。
中古住宅や旧耐震基準の物件にお住まいの方も、耐震診断や耐震改修による補強を検討することで、安心して暮らせる住まいにアップデートできます。