家具配置を忘れると失敗する?リノベーション成功の秘訣

BLOG & WORKS

リノベーションの落とし穴!ビフォーアフター図面に“家具配置”がないと失敗する理由

#インテリアコーディネート#ビフォーアフター#ポジティブチェンジ#リノベーション失敗#リノベーション成功のコツ#一級建築士#収納計画#家具選び#家具配置 間取り#東京#間取り改善

リノベーションのよくある失敗

リノベーションを検討する際、多くの人が最初に惹かれるのは「ビフォーアフターの間取り図」です。壁を抜いて広々としたリビングをつくったり、ウォークインクローゼットを新設したり、子ども部屋を分割したり――図面を見るだけで暮らしの夢がふくらみます。
しかし、実際に完成した住まいで暮らし始めると「ソファが置けない」「ダイニングテーブルを置いたら通路がふさがってしまう」「収納家具の収まりが悪い」といった声は少なくありません。その原因は、リノベーションのプランに家具配置が描かれていないことにあります。
間取り図は線で見るとスッキリしていますが、そこに生活に必要な家具を置いた瞬間、暮らしにくさが露わになることは珍しくないのです。本記事では、リノベーションでよくある「家具配置を見落とす失敗」を取り上げ、失敗を防ぐために必ず押さえておきたいポイントをご紹介します。


「間取りのビフォーアフター図」に潜む落とし穴

「家具が描かれていないリノベーションのビフォーアフター間取り図。広々として見えるが、実際には家具を置くと生活動線に支障が出る可能性がある

リノベーションの提案資料や広告に登場する上の図のような「ビフォーアフターの間取り図」。見比べると変化が一目でわかりやすく、リフォーム前後の違いを直感的に理解できます。ですが、その図面には大きな落とし穴があります。

ほとんどの図面は家具が描かれていないのです。家具が描かれていないと、一見すると広々とした印象を与えます。しかし、実際に暮らすとなるとソファ、ダイニングセット、ベッド、本棚、食器棚といった家具は必ず置かれます。そのため、家具配置の検討を図面の状態から確認しておかないと、入居して家具を配置した瞬間に、通路が狭くなったりドアが開けにくくなったり部屋が狭くなったりと、図面レベルではわからなかった暮らしにくさが露呈するのです。

つまり「家具なしの図面」は現実の暮らしを正確に反映していないと言えます。


家具配置まで考えることで得られるメリット

家具を配置したリノベーションのビフォーアフター間取り図。ソファやダイニングテーブル、収納家具を図面に描き込み、生活動線や居心地を事前に確認できる

家具を含めた図面で検討すると、リノベーションの精度は大きく変わります。

上の図は、左が家具のないリノベーション図面、右が家具のあるリノベーション図面。入居後のイメージが具体的になるのがお分かりいただけますでしょうか?

  • 生活動線の最適化
    玄関からリビング、リビングからキッチンへと、人が自然に動ける流れを妨げない配置が可能になります。
  • 採光・通風の確保
    家具を窓際に置いてしまうと光や風を遮りますが、図面上でシミュレーションすれば事前に避けられます。
  • 暮らしのスケール感が分かる
    図面で見ると広そうな部屋でも、実際に家具を置くと圧迫感が出ることがあります。家具を描き込むことで実寸感を得られます。
  • 将来の変化への対応
    子どもの成長やライフスタイルの変化に合わせ、家具の移動や入れ替えができるかどうかを確認できます。

家具を配置した図面を見れば、住んだ後の生活がより鮮明にイメージできるのです。


既存の家具を活かすための工夫

リノベーションの際、すべての家具を新調する人は多くありません。お気に入りのソファやダイニングテーブルなど、これからも使い続けたい家具は必ずあるものです。

このとき大切なのは、家具の寸法を正確に伝えることです。横幅・奥行き・高さだけでなく、扉や引き出しの開閉スペースも含めて確認しておきましょう。そのデータを基に図面に家具を描き込み、無理なく収まるかどうかをチェックします。

もし設計段階で寸法を伝えず、完成してから「入らない!」となれば大きな後悔につながります。逆に、家具を基点に空間をデザインすれば「お気に入りの家具を引き立てる住まい」へと進化させることも可能です。


リノベーションを成功させるためのチェックリスト

リノベーションプランを確認するときには、次の項目を必ずチェックしてください。

  1. 家具がすべて図面に配置されているか?
  2. ドアや引き戸の開閉が家具に干渉していないか?
  3. コンセントや照明の位置と家具の配置が合っているか?
  4. 人の動線が狭すぎないか?
  5. 将来の生活変化に対応できる柔軟性があるか?

この5点を確認するだけで、リノベーションの失敗は大幅に減らせます。


まとめ

リノベーションの成否を分けるのは、間取りそのものではなく家具配置まで含めたプランニングです。図面上で生活をシミュレーションし、家具の収まりや動線を確認して初めて快適な住まいが完成します。今ある家具を活かす場合も、新しい家具を選ぶ場合も、設計段階で「家具まで描かれたプラン」を依頼することが重要です。
「間取りのビフォーアフター図」に惑わされず、家具を含めたリアルなプランで、理想の暮らしを実現していきましょう。

さらに、COLLINOではライフスタイルの変化に伴う模様替えや、将来を見据えた可変性のある住まいづくりも、図面に家具配置を落とし込んで丁寧に検討することが可能です。
家族構成や働き方が変わっても安心して暮らせるよう、建築士の視点から長期的に快適な住まいをご提案します。

この記事の著者

しかま のりこ

一級建築士/模様替えアドバイザー/教育建築士
東京都出身、日本女子大学在学中に英国留学、インテリアデザインを学ぶ。ゼネコン・確認検査機関では住宅の設計・審査・検査・インテリアコーディネートまで、 5,000件以上 の実務をこなす。 “住まいを診断”する検査員としての厳しい目と、 暮らしを心地よく整える家具配置の視点を持つプロ。デザインした家具はキッズデザイン賞を受賞。著書に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」「狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋づくりのルール」(彩図社)がある。

コメントは受け付けていません。

関連記事

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記

Copyright © 2024 一般社団法人日本模様替え協会 All rights Reserved.