上質な暮らしは『収納の美しさ』から――ラグジュアリーマンションに学ぶ整理術
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上質な暮らしは「収納の美しさ」から――ラグジュアリーマンションに学ぶ整理術
「インテリアは整えているのに、なぜか雑然として見える…」
そんな経験はありませんか?
ラグジュアリーマンションに足を踏み入れたとき、誰もが感じる“すっきりとした美しさ”の正体――
それは、空間の余白と収納の設計にあります。
今回は、上質な暮らしを支える「美しい収納の考え方」を、一級建築士として多くの住まいに関わってきた視点から解説します。
整理術は、インテリアよりも空間の「本質」にかかわる、大人の教養のひとつです。
■ なぜ、上質な空間は“収納”から生まれるのか?
高級マンションのモデルルームに共通しているのは、「余計なモノが一切見えない」状態が保たれていることです。
家具や照明が上質であることはもちろんですが、それ以上に重要なのが、収納設計が徹底されている点です。
美しい空間には「見せない収納」がある
- 扉の中に全て収まっている
- モノの“定位置”が決まっている
- 扉や引き出しの高さ・奥行きが用途に最適化されている
こうした収納計画があるからこそ、空間に“視覚的な余白”が生まれ、ラグジュアリーな印象を与えているのです。
■ ラグジュアリーマンションに学ぶ収納設計のポイント
ここからは、実際に上質な暮らしを実現しているハイグレード物件に共通する、収納の「つくり方」と「しまい方」の工夫を5つご紹介します。
1. 「用途別」に収納をゾーニングする
よくある失敗は、「とりあえず一か所にまとめる」こと。
ラグジュアリー空間では、用途別・動作別に収納を設計するのが基本です。
例:
- 玄関 → 外出用アイテム・マスク・防災グッズなど
- ダイニング → 文具・書類・薬・充電器など
- 洗面 → 家族別タオル・日用品のストックなど
収納の位置と中身の“使用シーン”が連動していることで、出し入れがスムーズになり、モノが散らかりにくくなります。
2. 「見せる収納」と「隠す収納」を使い分ける
すべてを隠すのではなく、“魅せる”部分とのバランスも重要です。バランスが良い収納は、見せる収納と隠す収納の割合は2:8程度で設計します。
- リビング:お気に入りの本やアートを飾るオープン棚
- キッチン:美しい食器や調味料を魅せるガラスキャビネット
- 子ども部屋:絵本や作品をディスプレイ風に収納
上質な住まいは、「美しいモノは見せる、生活感のあるモノは隠す」というルールが貫かれています。
3. 扉・引き出しの“素材と統一感”にこだわる
収納の中身だけでなく、収納扉そのものの“見え方”も空間の印象を左右します。
- 壁面と一体化したフラット扉
- 天井までのハイドア収納で視線を上に流す
- 木目・石目調など、内装と質感を合わせる
これにより、“壁のように見える収納”が実現し、視界がスッキリ整います。
4. 「隠れた収納」を活用する
ラグジュアリー物件では、空間の無駄を最大限に活かす工夫がされています。
- キッチンカウンター下の浅型引き出し
- ベンチや窓下に設けた座面収納
表からは見えない場所にある収納が、生活感を抑えつつ、必要なモノをすぐに取り出せる仕組みを支えています。
5. 「出しっぱなし前提」のモノは“定位置とトレー”で整える
リモコン・文房具・郵便物・充電器など、出しっぱなしにしがちな小物は、専用のトレーやボックスにまとめて置くのが鉄則です。
特にリビングやダイニングでは、「何が出ていてもいいけど、“散らかって見えない”ように見せる」設計が、美しさと実用性を両立させます。
■ 建築士の視点:「片付く家」は、家族の関係も整える
私のもとには、教育熱心な子育て世帯からのご相談が多く寄せられます。
その中で確信しているのは、空間の整い=心の整いだということ。
特に子どもは環境に敏感で、
「モノの場所が決まっている」「必要なものを自分で探せる」環境があると、
自主性や段取り力が自然と育っていきます。
また、親自身が「戻す場所」を意識できている家庭では、無駄なストレスや探し物が減り、家族の会話や時間にゆとりが生まれます。
■ まとめ|本当のラグジュアリーは、“整った日常”の中にある
ホテルライクな住まい、上質な暮らし――
そのベースにあるのは、豪華な素材や大空間ではなく、“整える力”と“余白の美”です。
ラグジュアリーマンションが教えてくれるのは、
「収納を制する者は、暮らしを制する」ということ。
すぐに真似できる部分から、ぜひ日々の住まいに取り入れてみてください。