「つい叩いてしまった」育児ストレスを解消する“住まい”の整え方で、母と子の笑顔を取り戻す | COLLINO(コリーノ)インテリア

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「つい叩いてしまった」育児ストレスを解消する“住まい”の整え方で、母と子の笑顔を取り戻す

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定年後に“家が戦場”になる理由と、妻が笑顔を取り戻す住まい改革ガイド

「おもちゃ散乱・洗濯物ぐちゃぐちゃ…つい叩いてしまった」

「部屋を片づけても、幼い子どもがすぐに散らかしてしまう」「おもちゃを乱雑に放り出すだけでなく、たたんだ洗濯物や本までぐちゃぐちゃにされ、思わず手が出てしまった」――こんな悩みを抱える母親は少なくありません。
育児ストレスは、一歩間違えば家庭内暴力や虐待にもつながりかねない深刻な問題。しかし、子どもの好奇心や行動の特性を理解し、住まいの仕組みを整えることで、親子ともに笑顔で過ごせる空間に変えることができます。

今回の記事では、実際に住まいのコンサルタント事務所に助けを求め、最悪の状況から抜け出したBさんの事例を踏まえ、“子育てストレス”を軽減する住まいづくりのポイントをご紹介します。


おもちゃ散乱、洗濯物破壊…最悪の育児ストレスが生まれた原因

● Bさん一家の状況

都内に暮らすBさん(30代、育休中)は、2歳の長女を育てています。夫は仕事が忙しく、家事や育児はほぼBさん一人で担当。

  • 片づけてもすぐ散らかるおもちゃ
  • 洗濯物をたたんでおいても、子どもが興味本位で引っ張り出し台無しに
  • 本棚から本を出しては破る
  • 倒れそうな収納家具をよじ登る
    こうした繰り返しで、Bさんのストレスは限界。「子どもを叩いてしまった」と自己嫌悪に陥る日々が続いていました。

● 子どもの好奇心と行動特性への理解不足

幼児は好奇心が旺盛で、目の前にある物を手あたり次第触ったり、口に入れて確かめたりします。Bさんの場合、子どもの行動を“危ないからやめて”“もう散らかさないで”と叱るばかりだったため、子どもも“禁止が多い”“怒られる”と感じ、親子双方のイライラが増幅。家の中は荒れ放題で、笑顔が絶えなくなったのです。


模様替えアドバイザーが提案した解決策

こうした状況を打開するため、Bさんは当事務所に相談されました。そこで「子どもが“自由に遊べるスペース”と‘触ってはいけない物を防ぐ工夫”を住まいの仕組みで整える」ことを最優先に提案しました。

(1) “安全に散らかせる”キッズゾーンをつくる

  • リビングの一角に“プレイコーナー”を設定
    床にクッション性の高いマットを敷き、周囲を倒れにくい棚や収納ボックスで囲む。子どもがよじ登っても危険が少ないよう、低めの家具を選び、コーナーを明確に区切る。
  • おもちゃを“見える収納”に
    大人がまとめて片づけるのではなく、子どもが自分で片づけやすいバスケットや箱を複数用意。「ここにおままごとセット」「ここにブロック」などラベルや写真を付けると、親子で片づけしやすい。

(2) “触られたくない物”を子どもの手の届かない場所に

  • 洗濯物は子どもが触れないエリアへ
    今までリビング隅に置いていた洗濯物を畳む場所を、ダイニングと仕切れる小部屋やキッチンの一角に移動。子どもが立ち入らない仕組みを作るだけで、ぐちゃぐちゃにされるトラブルが激減。
  • 倒れやすい家具は壁面固定&高所収納の活用
    子どもの安全確保のため、タンスや本棚は壁に固定するのが基本。よく使う大人用のアイテムや壊されたくない書類などは、子どもの目線や手の届かない“高所収納”へ移動。

(3) “危ない! 触らないで!”を減らす動線と収納

  • オープン棚やカウンターを活用
    扉を開け閉めする動作が多いほど、子どもが興味を持ってしまい“いたずら”の機会が増える。オープン棚で子どもが触っても危険の少ない物を置き、必要な物はまとめて扉のついた見えない収納へ。
  • 夫婦で“生活ゾーン”を再認識
    帰宅後すぐリビングに荷物を置くと、子どもが興味を持って散乱させやすい。玄関近くや廊下に簡易収納を設置し、日用品やカバンはリビングに持ち込まないルールづくりを行う。

整備後の効果:Bさんと子どもに笑顔が戻った

● “散らかしてOK”のコーナーで、叱る回数が激減

リビングの一角をプレイコーナーにすることで、子どもは“自分の場所”を手に入れました。おもちゃを床に広げられるうえ、親から過度に禁止されないので、ご機嫌に遊んでくれる時間が増えたといいます。

Bさんの声:
「‘ここでなら好きに遊んでいいよ’と言える場所があるだけで、私のイライラが格段に減りました。子どもも『遊んでも怒られない場所』とわかって楽しそうです。」

● “触られたくない物”を排除して安心

洗濯物を畳む場所を子どもの手の届かない場所に変えたことで、衣類をぐちゃぐちゃにされるストレスが大幅に軽減。また、家具や本棚をしっかり固定し、危険なモノを高所に移すだけで子どものイタズラ被害が激減し、「叩いてしまう」ほど怒る場面が激減したそうです。

● 親子のコミュニケーションが増え、夫も積極的に参加

Bさんは夫にもリビングの変化を伝え、“ここが子どものスペース、ここは大人専用”という区分を共有。夫も「なるほど、これなら安全だね」と理解を深め、帰宅後に子どもと一緒にプレイコーナーで遊ぶ時間を増やすようになりました。
こうして家全体に“子どもと一緒に楽しむ”空気が広がり、夫婦の笑顔や会話も増えたとのことです。


まとめ:住まいの仕組みづくりが、育児ストレスを大幅に軽減する

  • “子どもが散らかしてOK”なスペースを確保する
    全部を禁止するのではなく、安全に自由に遊べる場所を最初から用意すれば、親子の衝突が減る。
  • 触られたくない物は高所&別空間に
    “いたずらをされる前提”で住まいをデザインしておくことが、深刻なイライラやトラブルを防ぐ。
  • 家族でルールを共有し、動線や収納を見直す
    “あちこちにモノを置かない”“危険な家具は壁に固定”などの基本を守るだけで、育児ストレスを大幅に減らせる。

子どもは好奇心いっぱい、動きも予測不能。大人にとっては“散らかす・破く・倒す”行為がストレスですが、その行動自体が成長に必要な経験であることも否めません。だからこそ、住まいの環境を整え、“叱らなくてもいい仕組みづくり”を成長に合わせて作ることが有効なのです。
もし育児ストレスで悩んでいるなら、Bさんの事例を参考に、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。住まいを工夫するだけで、親も子も笑顔を取り戻し、家族が健全に暮らせる未来が開けるはずです。

この記事の著者

しかま のりこ

一級建築士/模様替えアドバイザー/教育建築士
東京都出身、日本女子大学在学中に英国留学、インテリアデザインを学ぶ。ゼネコン・確認検査機関では住宅の設計・審査・検査・インテリアコーディネートまで、 5,000件以上 の実務をこなす。 “住まいを診断”する検査員としての厳しい目と、 暮らしを心地よく整える家具配置の視点を持つプロ。デザインした家具はキッズデザイン賞を受賞。著書に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」「狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋づくりのルール」(彩図社)がある。

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