散らかり放題、集中できない~リビング学習の失敗を防ぐ!リビング学習の工夫とアイデア
リビングでの学習は、家族との時間を大切にしつつ、柔軟に学ぶことができるという魅力がありますが、一方で集中力を維持するのが難しくなることもあります。本記事では、リビング学習で起こりやすい失敗と、それを克服するための具体的な方法について一級建築士/模様替えアドバイザーが詳しく解説いたします。
リビング学習が難しい理由
リビング学習は、多くの家庭で取り入れられていますが、効果的に行うにはいくつかの課題があります。まず、リビングは家族の集まる場所であり、家族全員がの活動する場所です。ここでは、リビング学習が難しい理由について詳しく見ていきます。
周囲の環境と雑音
リビングという場所自体が持つ特性として、様々な雑音や動きが常に存在します。テレビの音や家族の会話、電話の着信音などが、学習中の子どもの集中力を削ぐ可能性があります。さらに、リビング以外の場所からの音、例えば家の外の車の音や近隣の生活音なども影響します。これらの雑音は、特に静かな環境でないと集中しにくい子どもにとっては非常に大きな障害となりえます。
スペースの限界と配置
リビングは通常、家族全体が共有するための家具や生活用品が多く、個人のための学習空間を確保することが難しいです。例えば、ダイニングテーブルが学習スペースになることが多いかと思いますが、椅子やテーブルの高さ、照明などが学習に最適でないことが多く集中力の妨げになります。また、学習に必要な文房具や書籍を置いておくスペースが限られることから、モノがあふれ散らかりやすく片付かないリビングになってしまいがちです。
家族の生活リズムとの調整
家族全員の生活リズムは異なるのが通常です。学校が終わる時間や仕事の終わる時間、食事の時間など、各家庭事情がリビング学習に影響します。例えば、夕食の準備が始まるころ、リビングを学習のために使っていると用が足せなくなることや、テレビを観たい時間との衝突などが挙げられます。このように、家族の行動スケジュールと調整しなければならない点が、学習意欲に対する障害となることが多いのです。
集中力を高める工夫
家での学習や作業において、集中力を保つことは非常に重要です。しかし、自宅のリビングで行う学習は、環境による影響を受けやすいため、集中力を持続させるための工夫が必要です。ここでは、学習スペースの最適化やモノが散らからない工夫や、集中力を高めるための道具やアイテムについて詳しく解説します。
学習スペースの最適化
効果的な学習スペースは、集中力を高めるための第一歩です。まず、机や椅子の配置が重要です。椅子は背筋を伸ばして深く座ったときに肘が直角にデスクにおける高さに調整し、机は照明が十分に当たる場所に置くようにします。明るさが足りない場合は、デスクライトも追加しましょう。デスクライトは白系の光で文字が見やすいものにすると、集中力がUPします。また、壁に向かって机を配置することで、視覚的なノイズや誘惑を減らすことができます。さらに、小さくてもよいのでデスクにグリーンの植物を置くと視覚のストレスを軽減し、心理的にも落ち着く効果があります。
モノが散らからない工夫
リビングでは、家族全員が使用するため、多くの物が集まりがちです。そこで、モノを整理整頓する工夫が必要です。例えば、引き出し付きの収納デスクを使用し、必要な文具類を一箇所にまとめておくと便利です。また、壁に有孔ボードを貼りフックを取り付けることで、ちょっとした小物をすぐに引っ掛けられるようにすると、散乱を防ぎます。そのほか、後述する空間分けや専用収納の考え方も参考にしてください。
集中力を高める道具やアイテム
集中力を高めるための道具やアイテムを積極的に取り入れましょう。ノイズキャンセリングのヘッドフォンは、周囲の音をシャットアウトするのに役立ちます。また、砂時計やタイマーを使用して時間管理をすることで、一定時間ごとに休憩を入れるという、集中の持続に効果的なポモドーロテクニックを試すことができます。さらに、香りを活用することでリラックス効果を得ることもできます。アロマディフューザーを活用して好きな香りを取り入れることで心地よい環境を作り出し、集中力が持続します。
実践!手軽にできるリビング学習スペースのつくり方
リビングでの学習スペース作りは、その利便性から多くの家庭で取り入れられています。しかし、効果的な学習スペースを作るためには、しっかりとしたプランニングが必要です。ここでは、手軽に始められるリビング学習スペースの作り方をリビングダイニング12畳の間取りを使って解説します。
ステップ1:機能の洗い出しと空間分け
まず初めに、リビングダイニングをどのように使うか?機能の洗い出しを行いましょう。例えば「ご飯を食べる」「勉強をする」「TVを見てくつろぐ」などです。この機能は各家庭によって様々ですので、よく家族と話し合い、機能を洗い出していきましょう。
つぎに、機能ごとに部屋を空間分けします。今回は似た機能をまとめ「リビングダイニングゾーン」「洗濯衣類ゾーン」「リビング学習ゾーン」に分けました。空間分けする際は、照明、電源タップ、収納などの基本的な要素を考慮に入れます。例えば、あらかじめ作り付けてあるクローゼットのそばに似たカテゴリーの「洗濯衣類ゾーン」を、TVアンテナの近くにTVを置く「リビングダイニングゾーン」などです。空間分けをすることで、無駄な移動が減ります。
ステップ2:動線を考えた家具配置
次に、各空間ごとに動線を考慮した家具配置を行います。動線とは、人の動く道筋のことを指し、これがスムーズであると生活が快適になります。「リビングダイニングゾーン」にはソファやダイニングテーブルを、「洗濯衣類ゾーン」には物干しを「リビング学習ゾーン」にはデスクを置きました。
ステップ3:専用収納の設置
最後に、各空間に専用収納を設置します。「リビングダイニングゾーン」にはカウンター下収納を、「洗濯衣類ゾーン」には衣類収納を、「リビング学習ゾーン」には学用品収納を置きました。各空間に専用収納があることで、モノがあちこちに散らかりにくくなります。使い終わったらすぐに片付ける習慣もつきやすく、雑然としがちなリビングも片づいた状態を保ち続けることが可能になります。
こちらはビフォーアフターの様子です。アフターは学習デスクが2つ増えているのですが、空間分けして配置することで狭くは感じませんね。
空間分けによるリビング学習スペース例
その他の空間分けによるリビング学習の家具配置例も見てみましょう。ご自宅に応用できるものがあれば参考にしてみてください。
12畳リビングダイニング:ダイニングソファを使った例
こちらは学習空間をより独立させたい場合の家具配置例です。ダイニングテーブルとソファの機能を兼用した「ダイニングソファ」を使ってスペースを有効活用しています。リビングダイニングとリビング学習空間の間には突っ張り間仕切り収納を置いて、簡易的に空間を間仕切り独立性を高めています。
12畳リビングダイニング:80センチ角のこたつテーブルを使った例
こちらは簡易にリビング学習を設置したい場合の家具配置例です。子ども部屋にデスクを置いているが、時間帯などによりリビングでも勉強させたいご家庭向けです。ダイニングテーブルの横に80㎝各程度の大きさのこたつテーブルを置き、その横に引き出しを背中合わせに置いています。こたつテーブルは安価なうえに夏はテーブル、冬はこたつとしてオールシーズン使えます。とくに足元を温かくして勉強に集中したい冬には最適な選択です。
12畳リビングダイニング:2人で兼用するデスクを使った例
こちらは違う間取りでのリビング学習の様子です。簡易にリビング学習を設置したい場合の家具配置例で、子ども部屋にデスクを置いてます。デスク幅は130㎝、TVには背を向けて配置しています。空間分けされているイメージが確認できるかと思います。
12畳リビングダイニング:リビングの収納を増やした例
デスクの位置を変えた配置の様子です。リビング学習横の収納は作り付けの大型収納を置いてます。小物から参考書や教科書はもちろん、家族の本も収納できます。
まとめ
リビング学習は、家庭における学びの新たなスタイルとして注目されていますが、その実践にはいくつかの課題があります。周囲の環境や雑音が原因で集中しづらいという問題や、家具の配置や使い方によっては学習の効率に影響を及ぼすことがあります。そのほかにも、家族の生活リズムと学習のタイミングをどう調整するかも重要な課題となっています。家族全員が快適に過ごすためのルール作りが、リビング学習を成功させる鍵となります。
またリビング学習スペースを効果的に作るためには、リビングダイニングの機能を洗い出し、空間を分けることから始めましょう。そして、動線を考えた家具配置を意識し、専用の収納を設けることで、モノが散らかりにくく片付けやすいリビングダイニングになることで効果的なリビング学習が実践できます。
このように、リビング学習を成功させるためには、周到な準備と工夫が求められますが、家族全員がその意義を理解し、協力することで大きな成果を生むことは間違いありません。ぜひ、今回の記事を参考に快適で勉強に集中できるリビング学習スペースを作ってください。