親子で暮らす幸せと、将来のリアル──“今のまま”を見直す住まいのヒント | COLLINO(コリーノ)インテリア

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親子で暮らす幸せと、将来のリアル──“今のまま”を見直す住まいのヒント

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親子で暮らす幸せは、人生のうちで代えがたいものですね。
経済的にも安心で、親子で支え合える。
にぎやかで、食卓にはいつも会話がある。
一緒に暮らすのは、間違いなく“幸せのかたち”のひとつです。

けれどもその一方で、少子高齢化や単身世帯の増加が進む日本社会において、
「ずっと一緒に暮らすこと」は、将来的にお互いの選択肢を狭めてしまう可能性もあります。

今が幸せだからこそ、「このままで本当に大丈夫?」と少し立ち止まって考えてみる。
この記事は、そんなやさしい未来の備えについての提案です。


■“出ていかない家”にも、理由がある

成人した子どもが実家で暮らし続ける背景には、
経済的な合理性だけでなく、「親も子も居心地が良い」というシンプルな理由があります。

実家は、家事や食事の心配が少なく、交通の便も良い。
親にとっても「一緒にいてくれて安心」という気持ちがある。
だからこそ、無理に別々に暮らす必要を感じにくいのです。

ただ、その“快適さ”が長く続くほど、
お互いが新しい一歩を踏み出しづらくなってしまうことがあります。
親は「このままでいいのかな」と思いながらも言い出せず、
子どもも「出たいけど、出にくい」という気持ちを抱えたまま――。
こうした“やさしい共依存”が、
親子の関係を少しずつ“動かない形”にしてしまうのです。


■家の中に「時間が止まった部屋」はありませんか?

家の中に、昔のままの子ども部屋が残っていませんか?
机、カーテン、壁のポスター。
それは親にとって“思い出の部屋”でもありますが、
同時に「家族の時間が止まった部屋」でもあります。

その空間があることで、
親も子も「まだあの頃のままでいい」と感じてしまう。
家が動かない限り、関係も変わりにくいのです。


■“空間のリセット”は、関係のリセットでもある

少し勇気を出して、空間を変えてみましょう。
大きなリフォームをしなくても、家具の入れ替えや用途の変更だけで十分です。

たとえば、
・子ども部屋を「親の書斎」や「趣味の部屋」にする
・ベッドを撤去して、ソファや本棚を置き、リビング的な空間に変える
・思い出の品を一緒に整理しながら、“今の暮らし”に合う収納に見直す

「この部屋、もう子どものスペースではないんだ」と自然に気づかせることで、
親子それぞれの生活リズムが少しずつ動き始めます。
これは“追い出す”ためではなく、お互いが“自分の時間を取り戻す”ための小さなステップです。


■“住み替え”という選択も、前向きなリセット

もし、それでも家の空気が変わらないと感じるなら、
思い切って“住み替え”を考えてみてもよいかもしれません。

親子で少し小さな家に引っ越せば、
自然と「子ども部屋を手放す」プロセスを経ることになります。
新しい環境では、物理的にも“親の家の子ども”でいることが難しくなり、
子ども自身が「そろそろ自分で暮らそう」と感じるきっかけになります。

元の家に愛着があるなら、
しばらく賃貸に出すのも良い方法です。
誰かに貸すことで、“この家も人の暮らしの一部として生き続けている”という安心感が得られます。
住まいを動かすことは、過去を捨てることではなく、
未来に空間を受け継がせることなのです。


■老後の家は“縮める勇気”を

子どもが巣立ったあと、広い家のまま暮らし続けるのは、
経済的にも体力的にも負担が大きくなります。

空き部屋が増えれば、掃除も冷暖房費もかさみ、
階段の上り下りも負担になります。
「子どもの帰省用に部屋を残しておく」という気持ちも理解できますが、
年に数回のために家全体を維持するのは、現実的ではありません。

平屋やコンパクトな家に建て替える、
もしくは一部を賃貸化して管理費を軽くする――。
そんな“縮める勇気”が、これからの暮らしをより自由にします。

家を小さくすることは、
「これからは自分たちの時間を大切に生きる」という再スタートでもあります。


■まとめ:家を動かせば、家族も動く

一緒に暮らすことは、幸せです。
けれどもその幸せを持続させるためには、
“空間を動かす”という柔軟さも必要です。

家具を入れ替える、用途を変える、思い切って住み替える――。
それは、家族を離すためではなく、
家族がより健全な関係を保つための“リフォーム”なのです。

家は、暮らしと同じく変わっていくもの。
空間を少し動かすだけで、
親子の関係ももう一度、動き始めます。


■教育建築士としてのメッセージ

一緒に暮らすことは悪いことではありません。
ただ、家族の幸せを続けるには、“動かす勇気”が必要です。
家を変えることは、家族を変えること。
それは「別れる」ことではなく、「変化し成長する」ことなのです。

COLLINOでは女性一級建築士が、お客様一人ひとりの暮らしに寄り添い、将来を見据えたリフォームや模様替えプランを丁寧に作成いたします。
安心と上質を兼ね備えた住まいづくりを、ぜひご相談ください。

この記事の著者

しかま のりこ

一級建築士/模様替えアドバイザー/教育建築士
東京都出身、日本女子大学在学中に英国留学、インテリアデザインを学ぶ。ゼネコン・確認検査機関では住宅の設計・審査・検査・インテリアコーディネートまで、 5,000件以上 の実務をこなす。 “住まいを診断”する検査員としての厳しい目と、 暮らしを心地よく整える家具配置の視点を持つプロ。デザインした家具はキッズデザイン賞を受賞。著書に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」「狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋づくりのルール」(彩図社)がある。

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