【要注意】雨漏りしやすい家の特徴とは?一級建築士が警告する「軒なし住宅」の落とし穴
#めりっと #デザイン住宅 #デメリット #事例 #住宅トラブル #劣化 #外壁 #軒なし住宅 #雨漏りしやすい家の特徴 #雨漏りリスク

おしゃれな外観やスタイリッシュなフォルムで人気の「軒なし住宅」。
都心の狭小地やシンプルモダンなデザイン住宅でよく見かけるこのスタイルですが、見た目の良さだけで選ぶのは非常に危険です。
実は、軒や庇(ひさし)のない家は、雨漏りや外壁の劣化など深刻な住宅トラブルを引き起こすリスクが高いことをご存じでしょうか?
この記事では、雨漏りしやすい家の特徴と、軒や庇が果たす重要な役割、そして設計時に注意すべきポイントを、一級建築士の視点から解説します。
軒や庇とは?|見落としがちな“住宅の守り手”
軒(のき)とは、窓や玄関の上に設置された“屋根の張り出し部分”のこと。
庇(ひさし)も同様に、風雨や日差しから建物を守る機能を持つ重要なパーツです。
軒・庇の主な役割
- 窓や外壁に直接雨が当たるのを防ぐ
- 夏場の日射を遮り、室温の上昇を抑える
- 外壁の劣化を抑え、メンテナンス費用を軽減する
- 雨だれ・結露による汚れを防止する
雨漏りリスクは5倍以上?軒なし住宅の“知られざる欠点”
近年、軒を設けない“軒ゼロ住宅”が都市部を中心に増えています。
しかしこの設計には、大きな落とし穴が存在します。
軒なし住宅は雨漏り事故の主因に
国土交通省が発表した住宅瑕疵保険のデータによると、
平成21年~平成26年の住宅トラブルの8割以上が防水(雨漏り)に関するもの。
さらに『日経ホームビルダー』と瑕疵保険会社の調査によれば、
軒のない住宅は、軒のある住宅に比べて雨漏り発生率が約5倍に上ることが明らかになっています。
なぜ雨漏りが起きやすいのか?
- 窓や壁に直接雨が当たり、窓など開口部から浸水しやすい
- サイディングや配管まわりの防水層に過度な負担がかかる
- 新築数年で雨漏りが発生する例も
雨漏りだけじゃない!軒なし住宅に潜むその他のリスク
① 外壁の劣化スピードが早まる
雨や直射日光に常時さらされるため、塗装の劣化やクラック(ひび割れ)が早く進行。
塗り替えサイクルも短くなり、維持管理コストが増大します。
② 夏の室温上昇で冷房効率が悪化
軒がないことで、窓からの日射熱が直接室内に侵入。
特に南向きの大開口では、冷房負荷が大きくなり光熱費の増加につながります。
一方、冬季の日射角度は低いため、軒があっても日光を遮ることはほとんどなく、暖かさを享受できます。
③ 雨漏りは一度起きると“根本解決が難しい”
一級建築士として数多くの住宅を検査してきた経験上、雨漏りは簡単に止まらない厄介な問題です。
- 1度の補修で解決しないことが多い
- 漏水が広範囲に及ぶケースでは、構造体や内装に深刻なダメージ
- 瑕疵保険が適用されるのは新築後10年以内。それ以降は全額自己負担に
軒や庇がない限り、補修後も再発のリスクを常に抱えることになります。
【まとめ】軒の有無は“見た目”ではなく“性能”で選ぼう
デザイン性重視で軒のない住宅を選ぶ人も多い現代。
しかし、住宅は住まい手の命と財産を守る“器”であることを忘れてはいけません。
軒や庇のない住宅は、
- 雨漏りのリスク増加(最大5倍)
- 外壁の劣化スピード上昇
- 冷暖房コストの増加
- 長期的な補修費用の負担増
といった、見た目以上に大きなリスクを抱えています。
新築・購入・リノベーションの際は、「軒のない家」がおしゃれというだけで判断せず、住宅性能とメンテナンス性をしっかり見極めることが後悔しない家づくりの第一歩です。