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その「秘密基地」、実は危険です― 押入れ・ロフトを寝室にしてはいけない本当の理由

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押入れを秘密基地のように使い、子どもが中で過ごしている様子。換気や安全面に配慮されていない可能性がある空間のイメージ。

InstagramやYouTubeでよく見かける「押入れを寝室にした子ども部屋」「ロフトをベッドスペースにした省スペース住宅」。
一見するとワクワクするアイデアで、「空間を有効活用できて素敵」と感じる方も多いでしょう。

しかし、建築の専門家としては、これらの使い方には明確な法律違反リスクと健康リスクがあることをお伝えしなければなりません。
見た目の可愛さやSNS映えの裏側で、子どもや家族の健康が静かに脅かされているケースも、決して珍しくないのです。


■「空いているスペース=何に使ってもいい」は大きな誤解

多くの方が誤解しているのが、「スペースがあれば自由に使ってよい」という考え方です。
住宅は、見た目の間取りだけでなく、建築基準法によって用途ごとに厳密なルールが定められています。

人が長時間過ごす「居室」には、

  • 一定以上の採光(窓の大きさ)
  • 十分な換気性能
  • 最低限の天井高さ
  • 火災時の避難安全性

などが義務付けられています。

一方、押入れ・収納・ロフトの多くは、そもそも「居室」として設計されていません。
換気量が不足し、窓がなく、天井が低く、空気が滞留しやすい構造になっています。

つまり、設計段階から“人が長時間過ごす前提ではない空間”なのです。


■ 押入れ・ロフトが「居室」にならない理由(法律の視点)

建築基準法では、居室には以下の条件が求められます。

  • 採光に有効な開口部の確保
  • 換気設備または自然換気が可能であること
  • 天井高さの最低基準(2.1m以上)

押入れは「収納」、ロフトは多くの場合「小屋裏物置」として扱われ、「モノ」を収納する場所として設計していることから、これらの基準を満たすようにはプランされていません

「リフォームしたから大丈夫」「ベッドを置いただけだから問題ない」と思われがちですが、用途を実質的に変更してしまうと、建築基準上はグレー、場合によっては明確に違法となる可能性もあります。

さらに、将来的に住宅を売却・賃貸する際、用途違反が指摘されるリスクも見逃せません。


■ 見えにくい“健康リスク”がいちばん怖い

法律以上に深刻なのが、健康への影響です。

押入れやロフトは、

  • 合板・接着剤・防虫処理材などから発生する化学物質
  • 換気不足による空気の滞留
  • 湿気がこもりやすい構造によるカビ・ダニの繁殖
  • 夏場の高温化・酸欠リスク

が重なりやすい環境です。

実際に、押入れを秘密基地にして遊んでいた子どもが、喉の粘膜を傷めたり、アレルギー症状が悪化したりするケースは、決して珍しくありません。

特に子どもは体が小さく、化学物質や空気環境の影響を受けやすいため、大人よりもリスクが高くなります。

「楽しそうだから」「本人が気に入っているから」だけで判断するのは、とても危険なのです。


■ よくある3つの誤解

特に子育て世帯で多く見られるのが、次の3つの勘違いです。

① 短時間なら大丈夫
→ 繰り返し滞在することで、慢性的な影響が蓄積します。

② 換気扇をつけたから安全
→ 換気量・給気経路・室内気流設計が不十分な場合、十分な換気にはなりません。

③ 自己責任だから問題ない
→ 住宅の安全性は、家族全員の健康・将来資産価値にも関わります。

どうしても押入れやロフトを「居室=遊び場や寝室」として活用したい場合は、建築士による安全確認・換気計画・法的チェックが必須です。


■ SNSの情報は「真似る前に、疑う」

SNSには素晴らしいアイデアも多くありますが、
法律・構造・空気環境まで考慮されている投稿は、ほとんどありません。

住まいは「可愛い」だけで決めてはいけない分野です。
特に子どもの健康と安全は、デザインよりも優先されるべきです。

もし今のお住まいで、

  • 子どもの居場所づくりに悩んでいる
  • 空間活用に不安がある
  • 今の間取りが安全か確認したい

という方は、専門家に一度ご相談ください。
正しい知識が、家族の未来を守ります。

COLLINOでは女性一級建築士が、お客様一人ひとりの暮らしに寄り添い、将来を見据えたリフォームや模様替えプランを丁寧に作成いたします。
安心と上質を兼ね備えた住まいづくりを、ぜひご相談ください。

この記事の著者

しかま のりこ

一級建築士/模様替えアドバイザー/一級建築基準適合判定資格者
東京都出身、日本女子大学在学中に英国留学、インテリアデザインを学ぶ。ゼネコン・確認検査機関では住宅の設計・審査・検査・インテリアコーディネートまで、 5,000件以上 の実務をこなす。 “住まいを診断”する検査員としての厳しい目と、 暮らしを心地よく整える家具配置の視点を持つプロ。空間デザイン賞(丹青社)・キッズデザイン賞などを受賞。著書に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」「狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋づくりのルール」(彩図社)。

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