50代からの一人暮らしインテリア|おひとりさまの家に“自分の席”をつくる方法

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おひとりさまの家は、狭くてもいい。でも“自分の席”がない家は疲れる

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ひとり暮らしだから、広い家でなくてもいい。
そう考える方は多いのではないでしょうか。

実際、ひとりで暮らす家に、たくさんの部屋や広いリビングが必要とは限りません。
大切なのは、広さよりも「自分が心地よく過ごせる場所」があるかどうかです。

ところが、ひとり暮らしの住まいを拝見していると、家の中に家具や物はあるのに、なぜか落ち着ける場所がない、ということがあります。

食事も、仕事も、スマートフォンを見るのも、書類を書くのも、なんとなく同じテーブル。
くつろぐ場所のつもりだったソファには、洗濯物やバッグが置かれている。
ベッドの上で本を読んだり、動画を見たり、仕事のメールまで確認してしまう。

家の中に「座る場所」はあるのに、
本当の意味での「自分の席」がないのです。

ひとり暮らしなのに、なぜ家で疲れるのか

ひとり暮らしは、誰かに気を使わなくていい自由な暮らしです。
食事の時間も、寝る時間も、家具の選び方も、自分で決められます。

けれどその一方で、すべての行動がひとつの空間に重なりやすいという特徴があります。

食べる。
働く。
くつろぐ。
片づける。
考える。
眠る。

本来は少しずつ違う行為が、同じテーブル、同じ椅子、同じ部屋の中で行われていると、家の中に気持ちの切り替えが生まれにくくなります。

仕事の書類が置かれたテーブルで食事をしていると、休んでいるつもりでも頭のどこかで仕事のことを考えてしまいます。
食事をする場所に郵便物や請求書が積まれていると、食卓がくつろぎの場所ではなく、用事を思い出す場所になってしまいます。

狭いから疲れるのではありません。
空間の役割が曖昧なまま重なっているから、疲れやすくなるのです。

“自分の席”とは、専用の大きな部屋のことではありません

ここでいう「自分の席」とは、立派な書斎や広いリビングのことではありません。

小さな椅子ひとつ。
窓辺の小さなテーブル。
本を読むための一人掛けチェア。
朝のコーヒーを飲むための席。
夜、照明を少し落として過ごすためのコーナー。

そうした、暮らしの中で自分に戻れる場所のことです。

たとえば、同じワンルームでも、ベッドとテーブルと収納家具がただ並んでいる部屋と、窓辺に小さな椅子があり、そこに照明と小さなサイドテーブルが置かれている部屋では、過ごし方が大きく変わります。

その席に座ると、少し深呼吸できる。
本を数ページ読みたくなる。
お茶を丁寧に入れたくなる。
今日あったことを少し整理したくなる。

そんな小さな場所があるだけで、家は単なる生活の器ではなく、自分を整える場所に変わっていきます。

おひとりさまの家に必要なのは「用途ごとの小さな居場所」

家族で暮らす家では、リビング、ダイニング、子ども部屋、寝室など、部屋ごとに役割が分かれていることが多いです。

けれど、おひとりさまの家では、必ずしも部屋数で分ける必要はありません。
大切なのは、ひとつの部屋の中でも、用途ごとに小さく場所を分けることです。

たとえば、次のような場所をつくるだけでも、暮らしは整いやすくなります。

食事をする席。
仕事や書き物をする席。
くつろぐ席。
身支度をする場所。
バッグや郵便物を一時的に置く場所。
眠る前に気持ちを落ち着ける場所。

これらがすべて混ざっていると、部屋は散らかりやすくなります。
反対に、それぞれの行為に合った場所が決まっていると、物の置き場所も自然に決まり、片づけやすくなります。

たとえば、郵便物は玄関近くの小さなトレーへ。
バッグは帰宅後すぐに置ける場所へ。
読みかけの本は椅子の横の小さな棚へ。
仕事道具はダイニングテーブルに出しっぱなしにせず、専用のワゴンや収納ボックスへ。

こうして、行動と物の置き場所を近づけるだけで、暮らしの中の小さなストレスは減っていきます。

狭い家ほど、家具を減らすより「席の役割」を決める

狭い家を広く見せようとすると、まず家具を減らそうと考える方が多いかもしれません。

もちろん、家具が多すぎる家は動線を圧迫します。
収納家具を増やしすぎると、かえって部屋が狭く見えることもあります。

けれど、おひとりさまの家では、ただ家具を減らせば心地よくなるわけではありません。

むしろ大切なのは、
「この椅子は何をするための席なのか」
「このテーブルは何を置くための場所なのか」
「この棚は何を戻すための収納なのか」
を決めることです。

たとえば、ダイニングテーブルで食事も仕事も趣味もすべて行っている場合、テーブルの上にはいつも何かが残りやすくなります。

その場合は、仕事道具をまとめる小さなワゴンを用意する。
書き物をする小さなデスクを別につくる。
食事の前にテーブルをリセットできる収納場所を近くに設ける。

そうすることで、同じ部屋でも「食べる場所」と「作業する場所」が分かれ、気持ちの切り替えがしやすくなります。

窓辺の一席が、暮らしを変えることもある

おひとりさまの家で、特におすすめしたいのが「窓辺の一席」です。

大きな家具を置かなくてもかまいません。
小さな椅子と、小さなテーブル。
そこにスタンドライトやお気に入りのクッション、季節の花を少し添えるだけでも十分です。

朝はそこでコーヒーを飲む。
昼は外の光を感じながら本を読む。
夜は照明を落として、静かに過ごす。

同じ部屋でも、窓辺にひとつ席があるだけで、家の中に「余白」が生まれます。

余白とは、何も置かない空間だけではありません。
気持ちが少しゆるむ場所。
用事から離れられる場所。
誰かのためではなく、自分のために座れる場所。

それがおひとりさまの家には、とても大切なのです。

ひとりの食卓を、もっと大切にしていい

ひとり暮らしでは、食事が簡単になりがちです。
キッチンで立ったまま食べる。
テレビを見ながらなんとなく食べる。
テーブルの上の物を少し横に寄せて、その隙間で食事をする。

もちろん、毎日を完璧に整える必要はありません。
忙しい日もありますし、簡単に済ませたい日もあります。

それでも、ひとりの食卓を大切にすることは、暮らし全体を大切にすることにつながります。

小さなランチョンマットを敷く。
お気に入りの器を使う。
照明の色を少しやわらかくする。
テーブルの上に物を置きっぱなしにしない。
一輪の花や小さなグリーンを置く。

それだけで、ひとりの食事は「済ませるもの」から「味わう時間」に変わります。

おひとりさまの家づくりで大切なのは、誰かに見せるためのインテリアではありません。
自分が自分を粗末にしないための、暮らしの整え方なのです。

“なんとなく置く”をやめると、家は自分らしくなる

家が落ち着かない理由の多くは、家具や物が「なんとなく」置かれていることにあります。

なんとなく空いている壁に棚を置く。
なんとなく便利そうだから収納ケースを増やす。
なんとなく昔から使っているテーブルを置き続ける。
なんとなくソファを買ったけれど、実際にはあまり座っていない。

こうした家具や物が増えると、家は少しずつ自分の暮らしに合わなくなっていきます。

特に、子どもが独立した後や、家族構成が変わった後の住まいには、以前の暮らしの名残が残っていることがあります。

大きすぎるダイニングテーブル。
使わなくなった収納家具。
来客用の布団。
家族分の食器。
今は使っていない部屋。

それらをすぐに手放す必要はありません。
けれど、「今の自分の暮らしに本当に必要か」を一度見直してみることは大切です。

これからの家は、過去の家族のためだけではなく、今の自分を支える場所であっていいのです。

おひとりさまの家は、もっと自由でいい

おひとりさまの住まいには、家族暮らしとは違う自由があります。

リビングをリビングとして使わなくてもいい。
寝室を一番心地よい部屋にしてもいい。
ダイニングを小さな書斎にしてもいい。
使っていない部屋を趣味の部屋にしてもいい。
大きなソファをやめて、一人掛けの椅子を主役にしてもいい。

「普通はこう使うもの」という考えを少し外すと、住まいはもっと自分らしくなります。

ひとりで暮らす家だからこそ、
自分がどこで朝を迎えたいのか。
どこでお茶を飲みたいのか。
どこで本を読みたいのか。
どこで眠る前の時間を過ごしたいのか。

そんな小さな願いから、家を整えていくことができます。

まとめ:おひとりさまの家に必要なのは、広さより“自分に戻れる席”

おひとりさまの家は、狭くてもかまいません。
部屋数が多くなくても、立派な家具がなくてもいいのです。

大切なのは、家の中に「自分の席」があることです。

食事を味わう席。
本を読む席。
考えごとをする席。
何もしないでぼんやりできる席。
一日の終わりに、自分に戻れる席。

その席があるだけで、家はただ眠る場所ではなく、自分を整え、回復させる場所になります。

ひとり暮らしは、寂しい暮らしではありません。
自分のために、住まいを自由に整えられる暮らしです。

これからの人生を、もっと心地よく、もっと自分らしく過ごすために。
まずは家の中に、小さな「自分の席」をつくることから始めてみませんか。

この記事の著者

しかま のりこ

「部屋が狭い」「収納グッズを買っても片付かない」「垢抜けない」など、住まいの困りごとを、模様替えやインテリアコーディネート、リフォームなど空間の使い方から解決する一級建築士。
これまで5,000件以上の住宅に携わり、家具配置・収納・動線・インテリア・リノベーションなど、暮らしやすい住まいづくりを提案。子育ての経験も生かし、住まいと子どもの学び、自分らしく暮らすための住環境、住まいの仕組みづくりなど、暮らしと住環境の関係についても発信。

著書に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」「狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋づくりのルール」(彩図社)のほか、デザイン賞の受賞、テレビ・ラジオ出演なども多数。

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