実家の片付けは親が元気なうちに!高齢者の転倒・骨折を防ぐ実家整理術 | COLLINO(コリーノ)インテリア

BLOG & INFO

実家の片付けは親が元気なうちに!高齢者の転倒・骨折を防ぐ実家整理術

#介護予防#安全な住まいづくり#実家の片付け#実家整理#模様替え#片付けのコツ#親の家の片付け#転倒予防#高齢者住宅

高齢の親をもつ私たち世代にとって、今、改めて見直したいのが「実家の住環境」です。
昔のままの家具配置や物の多さ、段差や照明の暗さが、実は「転倒→骨折→寝たきり」への第一歩になっているかもしれません。

今回は、親の健康と安心な暮らしを守るために、なぜ「実家の整理」を今すぐ始めるべきなのか、そしてどう進めるのが効果的なのかを解説します。


なぜ今?「転倒→骨折→寝たきり」のリスクを減らすために

厚生労働省の調査によると、65歳以上の高齢者が「要介護状態」になる原因の上位には、常に「骨折・転倒」が入っています。特に自宅内での転倒は、ちょっとした段差や床の物につまずいて起こるケースが多く、油断できません。

一度転倒して大腿骨を骨折してしまうと、ベッドで寝たきりになるリスクが急激に高まります。

「元気に動けるうちに整理しておけばよかった」
「もう少し早く環境を整えていれば、こんなことには…」
介護現場では、そんな後悔の声を多く聞きます。


寝たきりになれば、本人と家族の生活は激変

高齢者が転倒して骨折、特に大腿骨を骨折すると、長期間の入院やリハビリが必要になります。手術を経ても元のように歩けるようになるとは限らず、そのまま寝たきり状態になってしまうケースも少なくありません。

ここで問題になるのが、「寝たきり=単に動けない」という状態にとどまらず、本人と家族の生活そのものが大きく変わってしまうという点です。

① 本人に起こる変化と苦痛

  • 筋力の急激な低下:わずか数週間の寝たきりでも足腰の筋肉は衰え、立ち上がる力すら失われます。
  • 認知機能の低下:活動量が減ることで脳への刺激も減り、認知症が進行するケースも。
  • 褥瘡(じょくそう/床ずれ)や肺炎:自力で体位を変えられないことで皮膚に傷ができたり、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
  • 精神的ストレス:自分のことが自分でできないことへの喪失感や、家族への遠慮からうつ状態に陥ることもあります。

② 家族にのしかかる介護の現実

  • 在宅介護の大きな負担:排泄、食事、体位変換、清拭(体を拭く)、服薬管理など、1日中付き添いが必要になることも。
  • 仕事と介護の両立困難:共働き世帯では仕事を辞める、時短勤務にするなどの判断を迫られ、収入にも影響が出ます。
  • 経済的な負担:介護ベッドやオムツ代、訪問介護・通所介護の利用料など、介護にかかる費用は平均月8〜10万円とも言われています(※厚労省データより)。
  • 家族関係のストレス:介護方針や負担の偏りをめぐって、兄弟姉妹間でトラブルになることも少なくありません。

そこで重要なのは、「転ばせない」こと。
つまり、家の中の危険を取り除き、暮らしやすい空間に整えることが、最大の介護予防になります。


実家の“危険ポイント”チェックリスト

親の家を訪ねたとき、次のようなポイントがあれば、早めの対応が必要です。

  • □ 床に物が散乱していて歩くスペースが狭い
  • □ カーペットやコードがたるんでいて、つまずきやすい
  • □ 廊下や階段が薄暗く、照明が不十分
  • □ トイレや浴室に手すりがない
  • □ 家具の角や配置が動線の妨げになっている
  • □ 長年使っていない物や紙類が山積みになっている
  • □ 昔の大家族で使っていた大きすぎる家具がたくさん残っている

これらはすべて、転倒・事故につながるリスク要因です。「思い出が詰まっているから…」「捨てるのはもったいないから…」という気持ちはわかりますが、安全には代えられません。


実家整理は「親の老後の安心」と「子の安心」をつくる

実家を整理するという行為は、単に「片づけ」をするだけではありません。

  • 親が快適に、安全に過ごせる空間をつくること
  • 万一のときに備えて、物や情報を管理しやすくすること
  • 子ども世代の“いざというとき”の負担を減らすこと

特に近年、「親の急病で実家を片づけなければならなくなったが、どこに何があるかも分からず途方に暮れた」という声が急増しています。遺品整理に近い状況に突然直面する前に、できることはたくさんあります。


実家整理の進め方:ポイントは「親の気持ちに寄り添う」

親の家を整理する際、「勝手に物を捨てる」のはNGです。高齢の親にとっては、どんな物にも思い出があり、「まだ使える」「そのうち使う」という気持ちがあるものです。

大切なのは、以下の3ステップです。

1. 一緒にチェックから始める

まずは一緒に家を見て回り、「ここ危ないね」「ここ暗いね」といった“気づき”を共有しましょう。危険ポイントの可視化が整理への第一歩になります。

2. 小さな場所から手を付ける

いきなり家全体を片づけようとすると、親も疲れます。たとえば「玄関だけ」「冷蔵庫の中だけ」「タンスの引き出し一段だけ」と、小さな単位から始めるのがおすすめです。

3. 捨てるのではなく「譲る・活かす」視点で

親が捨てたがらない物でも、「○○ちゃん(孫)にあげようか?」「リサイクルで使ってくれる人がいるよ」など、“次の使い道”を見せると納得しやすくなります。


まとめ:今始めることで、「将来の後悔」が減る

「まだ元気だから大丈夫」
「そのうち、やろうと思ってる」
そう思っている間に、事故や病気は突然やってきます。

実家整理は、単なる片づけではなく、「命を守る住環境づくり」です。
そして、元気なうちにこそ、親と対話しながら取り組める、かけがえのない家族時間でもあります。

後悔しないために――
「いつか」ではなく「今」、始めてみませんか?

この記事の著者

しかま のりこ

一級建築士/模様替えアドバイザー/教育建築士
東京都出身、日本女子大学在学中に英国留学、インテリアデザインを学ぶ。ゼネコン・確認検査機関では住宅の設計・審査・検査・インテリアコーディネートまで、 5,000件以上 の実務をこなす。 “住まいを診断”する検査員としての厳しい目と、 暮らしを心地よく整える家具配置の視点を持つプロ。デザインした家具はキッズデザイン賞を受賞。著書に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」「狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋づくりのルール」(彩図社)がある。

コメントは受け付けていません。

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記

Copyright © 2024 一般社団法人日本模様替え協会 All rights Reserved.