散らかすのは悪くない!子どもの発達視点から考える「子どもが片づけやすい家」のつくり方

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散らかすことは、学びの第一歩― 子どもの発達過程から考える「子どもが片づけやすい家」

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子どもが片づけやすい家の解説

「うちの子は、いつも部屋を散らかしてばかり…」
そう悩むお母さん、お父さんは少なくありません。
けれど実は、子どもが小さいうちに“散らかす”ことには、きちんと意味があります。
発達過程の観点から見れば、それは心と知能の発達に欠かせない行動なのです。


散らかすことは「世界を理解する練習」

子どもがモノを触ったり、動かしたり、並べたりするのは、
世界の仕組みを自分の手で確かめているからです。

「積み木を崩したらどうなる?」「入れ物に入れるとどんな音がする?」
こうした体験を通して、子どもは“因果関係”や“秩序”を学んでいるのです。

つまり、散らかすことは“混乱”ではなく、秩序を理解するためのプロセス
この時期に十分に試行錯誤することで、「整理整頓」への理解が育っていきます。


発達段階に合わせて“片づけやすい仕組み”を

子どもの年齢や発達段階によって、「片づけの方法」は変わります。
親がやり方を教えるよりも、子どもが自分で片づけやすい環境を整えることが大切です。

🍼 幼児期(2~4歳):「出す」ことが楽しい時期

この時期の子どもは、まだ「元に戻す」という概念が育っていません。
ですから、片づけの第一歩は“簡単に戻せる仕組み”を作ることです。

  • 「箱にポン」でOK。分類は1種類で十分。
  • 箱やカゴに写真やマークなどのラベルを貼る(文字よりイメージが理解しやすい)
  • 手の届く高さに収納を置く(親の助けが不要な位置)

例えば、「ブロック」「ままごと」「絵本」の3つの箱を用意し、
遊んだあとは1箱だけ「箱にポン」、放り込んで片づけるルールにしても十分です。


👧 児童期(5~9歳):「自分のもの」という意識が芽生える時期

学校生活が始まり、“自分の持ち物”という感覚が生まれます。
この時期は、責任感と整理力を少しずつ育てていきましょう。

  • 「自分専用の引き出し」「自分棚」「自分コーナー」をつくる
  • ラベルに文字+イラストを併用する
  • “時間で区切る”片づけ(遊んだら夕食前に戻す、など)

「あなたの棚を整えるのはあなたのしごと」と伝えることで、“自分の空間を整える喜び”を覚えます。


🧑 思春期(10歳~):「自立」と「管理感覚」を育てる時期

親が片づけに口を出すと反発しやすい時期。
この段階では、自分で決める仕組みづくりが鍵になります。

  • 自分で収納方法を選ばせる
  • 親は「仕組みの相談役」になる(命令ではなく対話で)
  • 大切なものは“隠せる収納”を取り入れ、心理的安心感を大切にする

この時期は、見た目の整頓よりも、「自分の生活をコントロールできる感覚」を育てることが目的です。


「片づけやすい家」は、子どもの心を育てる家

発達心理学では、環境は「第3の教師」とも呼ばれます。
空間が整えば、行動が変わり、行動が変われば心が育ちます。

片づけやすい家をつくるためのポイントは次の通りです。

  1. 子どもの動線上に収納を置く(動きながら戻せる)
  2. 片づけアクションは2ステップ以内に(“ポン→閉める”など)
  3. 収納の高さ・重さ・見やすさを合わせる
     →軽いものは上、重いものは下、よく使うものは目線の高さに
  4. 使う場所の近くに収納を設ける
     →おもちゃは遊ぶ場所の横、学用品はリビング学習スペースのそば

散らかることを“成長のサイン”に変える

片づけは“しつけ”ではなく、“発達の支援”です。
子どもの成長に合わせて、仕組みを変えながら見守ることが、
自立の第一歩につながります。

散らかる=世界を学んでいる証
片づけられる=心が育ってきた証

そう考えると、少し気持ちが楽になりますね。
「うちの子、成長しているな」と感じながら、
一緒に“片づけやすい家”を育てていきましょう。


💬 まとめ

子どもの成長視点から見れば、散らかす行為も、片づけの習慣も、どちらも子どもの発達の一部です。
家の仕組みを工夫することで、「片づけなさい」と言わなくても自然と整う空間になります。
それこそが、子どもの力を引き出す住まいづくりなのです。

COLLINOでは女性一級建築士が、お客様一人ひとりの暮らしに寄り添い、将来を見据えたリフォームや模様替えプランを丁寧に作成いたします。
安心と上質を兼ね備えた住まいづくりを、ぜひご相談ください。

この記事の著者

しかま のりこ

一級建築士/模様替えアドバイザー/教育建築士
東京都出身、日本女子大学在学中に英国留学、インテリアデザインを学ぶ。ゼネコン・確認検査機関では住宅の設計・審査・検査・インテリアコーディネートまで、 5,000件以上 の実務をこなす。 “住まいを診断”する検査員としての厳しい目と、 暮らしを心地よく整える家具配置の視点を持つプロ。デザインした家具はキッズデザイン賞を受賞。著書に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」「狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋づくりのルール」(彩図社)がある。

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