不登校で昼夜逆転したときの住まいの工夫|家族の睡眠と生活動線を守る

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不登校で昼夜逆転したときの住まいの工夫|家族の睡眠と生活動線を守る

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不登校になり、自宅で過ごす時間が長くなると、生活リズムが少しずつずれていくことがあります。

夜なかなか眠れない。
朝起きられない。
家族が寝たあとに活動するようになる。

そんな状態が続くと、本人だけでなく、一緒に暮らす家族も少しずつ疲れてくることがあります。

「夜中にキッチンを使う音で目が覚める」
「朝、家族が支度をしている時間にようやく眠り始める」
「兄弟姉妹が同じ部屋なので、お互いに休めない」
「昼間は子どもが寝ているから、掃除や家事にも気を使う」

こうした問題は、誰かが悪いわけではありません。

家族それぞれの生活時間がずれたことで、これまでの間取りや家具配置では暮らしにくくなっているとも考えられます。

今回は、不登校で昼夜逆転したときに、家族みんなが少しでも無理なく暮らすための住まいの工夫について、一級建築士の視点から考えてみます。

昼夜逆転すると「時間による住まいの使い分け」が必要になる

家族の生活時間がほぼ同じなら、住まいは比較的シンプルに使えます。

朝起きて、日中は学校や仕事へ出かけ、夕方から夜に家族が集まり、夜になればみんなが寝る。

ところが一人だけ生活時間が大きくずれると、同じ家の中で、

「起きて活動している人」と「眠っている人」が同時に存在する

ようになります。

ここで問題になるのが、

  • 音
  • 光
  • 人の移動
  • 水回りの使用
  • 家族同士の視線

です。

昼夜逆転を「生活習慣だけの問題」と考えるのではなく、まずは今の生活時間に住まいが対応できているかを見てみてもよいと思います。

まず確認したいのは「寝る場所」と「活動する場所」

最初に考えたいのは、子どもが夜どこで過ごしているかです。

たとえば、夜中にリビングで動画を見たり、ゲームをしたり、食事をしたりしている場合。

リビングの隣に親の寝室があれば、テレビの音や人の気配で眠りが浅くなることがあります。

反対に、子どもが個室の中ですべてを済ませている場合は、家族との生活動線が完全に分かれ、昼夜逆転がより固定化しやすい住まい方になっていることもあります。

大切なのは、

「夜に活動する場所」と「寝る場所」を一度整理してみること。

必ずしも部屋を増やす必要はありません。

家具の位置や使い方を少し変えるだけでも、家族の負担を減らせることがあります。

寝室の近くに「夜の活動場所」をつくらない

夜中に活動する場所は、できるだけ家族の寝室から離れた位置にあるほうが安心です。

たとえば、

親の寝室と壁一枚を隔てた場所にテレビがある。
寝室のすぐ外にデスクがある。
寝室の近くの廊下を何度も行き来する。

こうした配置では、本人が静かにしているつもりでも、足音や椅子を引く音、扉の開閉音などが伝わることがあります。

もし家具を動かせるのであれば、

  • テレビを見る場所を寝室から遠ざける
  • 夜使うデスクを共有壁から離す
  • 椅子の下にラグを敷く
  • キャスター付き家具を避ける
  • 扉の開閉回数が少なくなる配置にする

といった工夫が考えられます。

生活時間がずれている家庭では、家具配置にも「音の動線」を考えることが大切です。

光が家族の睡眠を邪魔しないようにする

夜に起きていると、照明も必要になります。

ただし、廊下やリビングの明るい照明が寝室まで届くと、家族が目を覚ましてしまうことがあります。

夜間は、家全体を明るくするのではなく、必要な場所だけを照らす方法がおすすめです。

たとえば、

  • デスクライトを使う
  • フロアライトを使う
  • 廊下には足元灯を使う
  • 寝室方向に光が漏れない照明位置にする

といった方法です。

本人にとっても、夜中に強い照明の中で過ごすより、落ち着いて過ごせる小さな光のほうが向いていることもあります。

キッチンや洗面所までの動線も確認する

昼夜逆転すると、夜中に食事をしたり、飲み物を取りに行ったり、洗面所を使ったりすることもあります。

そのたびに家族の寝室の前を通る間取りでは、本人も家族も気を使います。

一度、家の中を見ながら、

「夜中に子どもが移動すると、誰の前を通るのか」

を確認してみてください。

家具の位置を変えることで通路を整理できる場合もあります。

また、必要な飲み物や軽食をまとめておくことで、夜間の移動回数を少なくできることもあります。

ただし、子どもを一室に閉じ込めるような住まい方にする必要はありません。

目的は、お互いに気を使いすぎずに暮らせることです。

兄弟姉妹と同じ部屋なら、部屋割りを見直してもよい

兄弟姉妹で同じ子ども部屋を使っている家庭では、昼夜逆転が始まると生活時間の違いが大きな問題になることがあります。

一人は夜中まで起きている。
もう一人は翌朝学校へ行くために眠りたい。

この場合、どちらかが我慢し続けるのは難しいものです。

そこで、一時的にでも、

  • 寝る場所を分ける
  • 学習場所を別の部屋へ移す
  • リビングの一角を片方の居場所にする
  • 使っていない和室や書斎の役割を変更する

といった部屋割りの見直しを考えてみてもよいでしょう。

「この部屋は子ども部屋だから兄弟二人で使うもの」と決めつける必要はありません。

暮らしが変わったら、部屋の役割も変えてよいのです。

昼間に眠るなら、家族の生活を止めない工夫も必要

昼夜逆転すると、今度は昼間の問題が出てきます。

子どもが午前中から午後まで眠っていると、

「掃除機をかけられない」
「洗濯機を回すのも気になる」
「テレビもつけにくい」

と、家族が生活を遠慮するようになることがあります。

もちろん、本人が休める環境は大切です。

一方で、家族全員が一人の生活時間に合わせ続ける必要もありません。

寝室の位置を見直したり、リビングから離れた部屋を寝る場所にしたり、音が伝わりにくい場所を使ったりすることで、家族の生活との両立を考えてみます。

家族みんなが暮らしている家だからこそ、

「本人が眠れること」と「家族が普通に生活できること」の両方を守る

という視点が必要です。

子ども部屋の中でも「寝る」と「起きて過ごす」を分ける

個室の中で一日中過ごしている場合、ベッドの上で、

寝る。
スマートフォンを見る。
ゲームをする。
動画を見る。
食事をする。

という状態になることがあります。

部屋にスペースがあれば、小さくても構わないので、

「寝る場所」と「起きて過ごす場所」を分ける

ことを考えてみます。

たとえば、ベッドから少し離れたところに椅子を一脚置くだけでも構いません。

机があるなら、机を「勉強するためだけの場所」にしなくてもよいでしょう。

本を読む。
絵を描く。
パソコンを見る。

そんな過ごし方ができる場所として使う方法もあります。

ひとつの部屋の中でも、場所によって役割を分けることで、生活に少しだけ区切りをつくることができます。

朝起きられなくても「昼間の居場所」は用意しておく

生活リズムを戻そうとして、いきなり

「朝起きなさい」
「昼間は寝ないで」

と言っても、難しいこともあるでしょう。

住まいでできることは、生活リズムそのものを強制的に変えることではありません。

ただ、起きたときに、

「個室以外にも過ごせる場所がある」

という環境をつくっておくことはできます。

窓際の椅子でもいい。
リビングの端の一人掛けソファでもいい。
ダイニングの端でもいい。

「今日は少しここに座ってみようかな」と思える場所を用意しておく。

それだけでも、家の中での過ごし方に選択肢ができます。

親の寝室や仕事場所も守る

不登校の子どもがいる家庭では、どうしても子どもの環境を最優先に考えたくなるものです。

ですが、親にも睡眠が必要です。

仕事をする場所も必要です。

休む場所も必要です。

親が夜中まで子どもの気配を感じ続けたり、昼間もずっと物音に気を使ったりしていると、家族全体が疲れてしまいます。

ですから住まいを整えるときは、

「子どもが過ごしやすいか」だけでなく、「親がきちんと眠れるか」も同じくらい大切にしてください。

家族の誰か一人が我慢することで成立する家具配置は、長くは続きません。

「元の生活に戻す」だけを目的にしなくてもいい

不登校になると、どうしても、

「早く朝起きられるようにしなければ」
「学校へ行っていたころの生活に戻さなければ」

と考えてしまうかもしれません。

ただ、住まいについては、まず今の暮らしに合わせて整えるという考え方があってもよいと思います。

今、夜に起きているなら、家族が眠れるようにする。

今、昼に眠っているなら、本人が休みながら家族も生活できるようにする。

今、兄弟姉妹と生活時間が合わないなら、部屋の使い方を変える。

それは、昼夜逆転をそのままにするということではありません。

今の家族が少しでも消耗せずに暮らすための環境をつくることです。

住まいを変えることで、家族の負担を少し減らす

不登校や昼夜逆転には、さまざまな背景があります。

住まいを変えれば、それ自体が解決するというものではありません。

必要に応じて、学校や医療機関、カウンセラー、教育支援機関など専門家に相談することも大切です。

そのうえで、住まいには住まいにできることがあります。

家族の寝室と活動場所を離す。

光や音が伝わりにくい家具配置にする。

兄弟姉妹の寝る場所を見直す。

夜間の生活動線を整理する。

子ども部屋の中でも、寝る場所と起きて過ごす場所を分ける。

本人にも、親にも、兄弟姉妹にも、それぞれの居場所をつくる。

ほんの少し家具を動かすだけでも、暮らしやすさが変わることがあります。

子どもの生活が変わったときは、家族が我慢するだけではなく、住まいのほうも今の暮らしに合わせて変えてみる。

それも、家族を支えるひとつの方法ではないでしょうか。

不登校などで家で過ごす時間が長くなったお子さまの住環境について

COLLINO一級建築士事務所では、病気や障害、不登校などによって自宅で過ごす時間が長くなった子どもと、そのご家族が少しでも安心して暮らせる住環境について考える活動を行っています。

昼夜逆転による家族の睡眠、兄弟姉妹との部屋の使い方、子どもの居場所、家族との距離など、今の暮らしに住まいが合わなくなっていると感じたときは、家具配置や部屋割り、生活動線という視点から見直す方法もあります。う視点から一緒に考えていきます。

この記事の著者

しかま のりこ

一級建築士/インテリアデザイナー/一級建築基準適合判定資格者

設計・審査・検査などを通じて、これまで5,000件以上の住宅に携わる。家具配置・収納・生活動線を一体で考え、家族の暮らしに合った、使いやすく心地よい住まいを提案している。

自身も二人の娘の子育てを通じて、成長や興味に合わせた学習環境を工夫。娘たちは現在、医師・漫画家、ゲームプランナーとして、それぞれの道を歩んでいる。建築の専門知識と子育て・家事の経験を活かし、子どもが自分の「好き」や学びに取り組みやすく、親も無理なく見守れる住まいづくりを大切にしている。

著書に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」「狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋づくりのルール」(彩図社)。キッズデザイン賞・空間デザイン賞・設計コンペなどの受賞歴のほか、テレビ・ラジオ出演、住まいや子どもの学習環境に関する執筆・監修も行う。

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