脳梗塞による半身不随患者の住まいのつくり方 | COLLINO(コリーノ)インテリア

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脳梗塞による半身不随患者の住まいのつくり方

#住まい#収納#家具配置#工夫#脳梗塞#脳疾患

脳梗塞の後遺症により半身不随となった患者にとって、生活環境は回復の促進や日常生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。住環境を整えることは、リハビリテーションの一環として重要であり、医療チームと建築の専門家が連携して患者のニーズに対応する必要があります。ここでは、当事務所の医療アドバイザーであるリハビリテーション科の医師にお話を伺いました。


1. 安全性の確保:転倒防止が最優先

脳梗塞後の患者は筋力低下やバランス感覚の障害を抱えており、転倒のリスクが高いです。このため、以下の安全対策を行うことが重要です:

  • 段差を解消:廊下や部屋の間にある段差はすべて取り除き、スムーズに移動できる床面を作る。
  • 滑りにくい床材:リビングや浴室には滑り止めの床材を使用する。
  • 手すりの設置:トイレ、浴室、廊下など転倒しやすい場所に手すりを取り付け、移動を支援する。
  • 適切な照明:夜間でも視認性が高いよう、明るさを調節できる照明を設置する。

これらの工夫により、患者が自宅内で安心して移動できる環境を整えられます。


2. 患者の自立性を尊重した設計

患者の精神的な健康のためには、自立した生活が可能になる住まいが重要です。以下の配慮を検討します:

  • 車椅子や歩行器の利用を考慮した広いスペース:廊下や出入り口を広く設計し、スムーズな移動を実現。
  • ユニバーサルデザインの家具・設備:手の届きやすい高さに収納棚やスイッチを設置。
  • 福祉用具の導入:電動昇降ベッドや移動用リフトを適切に配置し、家族の介護負担を軽減。

患者が自分の力でできる範囲を広げることで、自己肯定感を高めることができます。


3. リハビリを支える空間づくり

自宅はリハビリを継続する場でもあります。医療機関での訓練と連動した環境づくりが鍵となります。

  • トレーニングスペースの確保:簡単なストレッチや歩行訓練ができる空間を用意する。
  • リハビリ器具の設置:平行棒や軽いトレーニング器具を置き、自宅でのリハビリを支援する。
  • 家族が支援しやすい設計:介護者が容易に患者をサポートできる配置を考慮。

日々のリハビリを自宅で無理なく継続できることが回復につながります。


4. 精神的な安らぎを考慮した住環境

身体的な改善だけでなく、精神的な健康を維持することも住まいの重要な役割です。

  • 自然光を取り入れる設計:明るい部屋は気持ちを前向きにし、うつ病予防にも効果が期待される。
  • リラックススペースの確保:静かに過ごせる部屋や庭へのアクセスを設計に取り入れる。
  • 患者の趣味を支える空間:読書や手芸など、患者が楽しめる活動を支えるスペースを用意する。

患者の心が穏やかになることで、治療効果も高まる可能性があります。


5. 医療機器や設備の導入

脳梗塞後の患者は、医療機器や薬物療法の継続が必要な場合があります。

  • 医療機器の配置計画:血圧計や酸素濃縮器などを安全かつ使いやすい場所に設置する。
  • 救急対応が可能な動線設計:万が一の緊急時に備え、救急隊が迅速にアクセスできるレイアウトを考える。
  • モニタリング機器の活用:スマートホーム技術を活用し、離れて暮らす家族や医療関係者が患者の状態を確認できる環境を整える。

まとめ

脳梗塞後の半身不随患者の住まいは、患者の安全性、自立性、リハビリ効果、そして精神的な健康を支えることを目的に設計する必要があります。患者の状態やリハビリ計画に応じて最適な住環境を提案し、医師のアドバイスのもと建築家や介護者と連携を図ることが重要です。患者とその家族の生活が少しでも快適で前向きなものとなるよう、医療的視点を活かした住まいづくりに取り組むことが求められます。

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この記事の著者

しかま のりこ

一級建築士/模様替えアドバイザー/確認検査員
東京都出身、日本女子大学住居学科卒業。住宅の設計・審査・インテリアコーディネートまで、 5,000件以上 の住まいを見てきたプロ。 “住まいの健康診断” をする検査員としての厳しい目と、 暮らしを心地よく整えるアドバイザーの柔らかい視点 をあわせ持つ、住まいの「ドクター&スタイリスト」。デザインした家具はキッズデザイン賞を受賞。著書に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」「狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋づくりのルール」(彩図社)がある。

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