家具を買う前に考えたい、「住まい全体を整える」ということ
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「部屋を何とかしたいけれど、どこから手をつければよいのかわからない」
そんなお悩みを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。
部屋をきれいにしたいと思い、まず収納家具を買ってみる。
お店で気に入ったソファや棚を見つけ、その場の勢いで購入する。
けれど、家に置いてみると思ったより大きかったり、生活動線を邪魔してしまったり、収納家具を増やしたはずなのに、なぜか部屋がすっきりしなかったりします。
これは、センスがないからでも、片づけが苦手だからでもありません。
家具を一つひとつ選ぶ前に、「住まい全体をどのように使いたいか」という計画が必要だからです。
家具を増やしても、暮らしやすくなるとは限らない
物が増えて部屋が散らかってくると、私たちはつい「収納が足りない」と考えます。
しかし、収納家具を増やせば必ず片づくとは限りません。収納場所が生活動線から離れていれば、使った物を戻すことが面倒になります。収納の奥行きや高さが合っていなければ、かえって使いにくくなることもあります。
また、空いている場所に家具を置いた結果、人が通るスペースが狭くなったり、掃除がしにくくなったりすることもあります。
大切なのは、家具を置けるかどうかではなく、「その場所に置くことで、暮らしが楽になるか」を考えることです。
誰が、いつ、どこを通るのか。どこで着替え、どこで物を使い、どこに戻すのか。
毎日の行動を振り返ると、本当に必要な家具や収納の位置が見えてきます。
住まいは、動線だけでできているわけではありません
家具の配置を考えるとき、生活動線はとても重要です。しかし、考えたいことは動線だけではありません。
たとえば、大きな家具をエアコンの風を遮る場所に置けば、冷暖房の効率が下がる可能性があります。窓や換気口の前を家具でふさいでしまえば、空気が流れにくくなります。
外壁に面した場所に家具を隙間なく置くことで、湿気がこもりやすくなり、結露やカビの原因になることもあります。
日当たりのよい場所に家具や物を置けば、素材によっては色あせや劣化が進むかもしれません。
床暖房がある場合は、家具の材質や脚の形状にも注意が必要です。
つまり、家具選びや配置には、使いやすさや見た目だけでなく、空調、換気、採光、断熱、湿気、掃除のしやすさなど、さまざまな視点が関係しています。
住まいは、一つひとつの家具を置いて完成するものではありません。
建物の性能と人の暮らし、そして家具や物の配置がうまくつながることで、快適な空間になります。
オフィスでは「ファシリティマネジメント」と呼ばれています
オフィスや施設では、建物や設備、家具、働く人の動きなどを総合的に考え、より使いやすく、快適で、効率的な環境を整えることを「ファシリティマネジメント」と呼びます。
私は、住まいにも同じような考え方が必要だと考えています。
そこで、住まい全体を計画的に整え、暮らしやすい状態を維持していく考え方を、私は「ハウスマネジメント」と呼んで大切にしています。
ハウスマネジメントは、単に部屋を片づけたり、おしゃれな家具をそろえたりすることではありません。
家族の生活動線、持ち物の量、収納場所、家具の配置、室内環境、建物の特徴などを一つずつ確認し、住まい全体を無理なく整えていくことです。
まずは「買うこと」より「知ること」から
住まいを整えたいと思ったとき、すぐに家具や収納用品を買う必要はありません。
まずは、今の暮らしを観察してみましょう。
どこに物が集まりやすいのか。どこで動きにくさを感じるのか。片づけにくい理由は、収納不足なのか、それとも収納場所が合っていないのか。室内の温度差や湿気、風通しに困っている場所はないか。
こうした小さな不便を見つけることが、住まいを整える第一歩です。
家具を選ぶのは、そのあとでも遅くありません。
住まい全体を見渡し、暮らし方に合った計画を立ててから選ぶことで、衝動買いや買い直しを減らすことができます。
住まいを整えるとは、物をきれいに並べることではありません。
毎日の行動が自然につながり、心地よい空気が流れ、無理なく片づけられる環境をつくることです。
「何を買えばよいか」と考える前に、「どのように暮らしたいか」を考える。
それが、ハウスマネジメントの始まりです。
